幼い頃から「八高に入れ」と呪文のように言われてきた。

「八高に入れなければ伊藤家にあらず」くらいの勢いで。

 

そう言っていたのは主に父なのだが、母はそんな僕を可哀想に思っていたらしい。

 

八高とは八戸高校のことで、青森県内で3本の指に入る進学校であり、八戸市内では他の追随を許さない。(今はわからないけど)

 

結果から言うと、呪文は効き、見事合格した。

 

ただ、入学してからは落ちこぼれ。

成績は卒業するまで、墜落寸前の低空飛行。

 

努力をしなかった僕の自業自得だが、実際問題、八高入学という家族の念願を叶えたことで安心をしたゆえでもある。

 

また、最も呪文を唱えていた父が中2の時に他界したことも大きい。

次なる呪文を唱える人がいなくなった。

 

生きていたら、おそらく今度は「東大に入れ」と唱えていたと思う。(ジャブは受けていた)

 

仮に生きていたとしても、反抗期を迎えた僕はそれを叶えてあげることをできなかったと思うが、不思議なもので、未来の義理の息子が親孝行をしている。

 

さて、今となってはケースバイケースにて自分でゴール設定を出来つつあるが、誰かに設定してもらった方がいい場合もある。

 

誰かに設定してもらう、または、自分が誰かに設定する場合、塩梅を間違えると、ウザいしウザがられる。

 

でも、ウザがられようとも呪文を唱え続けることが必要な時もある。

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